~世界初NFC対応の後付け型スマートロック開発で急成長~

◆若い世代の身の回りからアナログ製品がどんどん減っている。ノートやペン
がPCに、時計はスマートウオッチに取って代わり、本も電子書籍だ。「鍵だ
けが旧態依然の金属で違和感があった」と話すのはフォトシンス(東京都港区)
の河瀬航大社長(29)だ。
 
◆同世代の友人たちと秋葉原へ行って部品を買い集め、週末を利用してスマー
トロックの開発を始めた。日本経済新聞記者が「面白いことをしている若手趣
味集団がある」と記事を書いたら、「買いたい」「出資したい」「事業提携を」
と1日で100件を超える反響があった。そこまでニーズがあるなら、2014年9月
に仲間6人と起業した。社名のフォトシンスは英語の「光合成」。二酸化炭素と
水から有機物をつくる光合成にあやかり、有機的な価値を生み出したいという
意味だ。
 
◆15年3月、家庭向けの「Akerun Smart Lock Robot」をリリース。16年7月に世
界初となるNFC(近距離無線通信)対応の後付け型スマートロック「Akerun 
Pro」を活用したオフィス向けの「Akerun 入退室管理システム」を発売した。

◆ドアの内側に取り付けられている施錠・解錠用つまみ(サムターン)。つま
みが右回しなのか、左回しなのかを確認し、初期設定した端末機器をつまみの
上に貼り付ければ、IoT(モノのインターネット)を活用したクラウドサービス
で、スマートフォンをかざすと自動的に鍵が開く。スマホの代わりに事前に登
録した交通系ICカードにも対応する。

◆鍵がインターネットにつながることで「第三者に時間限定の鍵を発行する」
「入退室履歴をウェブ上から確認する」ことができる。カードや顔認証による
既存の入退室管理システムに比べ、工事不要で月額レンタルの安価でセキュリ
ティが強化できるのが売りだ。

◆17年の個人情報保護法改正で「個人情報を扱う全ての事業者」に入退出記録
を取ることが義務付けられ、部屋を出入りするだけで効率よく勤怠管理がきて
しまう「Akerun 入退室管理システム」は弁護士や会計士、IT系、教育系など
個人情報を扱う事業所から引き合いが殺到。現在の顧客数は約2500社にのぼる。

◆利益はこれからだが、東京・田町の新ビルに本社を構え、75人の従業員を抱
える。昨秋には第13回ニッポン新事業創出大賞で経済産業大臣賞も受賞した。
「テレビCMなどで認知度を上げ、早い段階でユーザー1万社突破をめざす」と
河瀬氏。夢は企業評価額10億ドル以上の「ユニコーン企業」に成長することだ。
(編集子)