~女性・外国人を積極活用、地方で最高の教育を~

◆全国展開する大手がひしめく英会話スクール業界にあって、「地方都市でも
最高の教育が受けられる場をつくる」をミッションとして掲げ、実行している
企業がある。香川、愛媛両県に12カ所の英会話スクールを展開し、幼児から小
中高生、さらには大人まで2000人弱の生徒に教えているジェム(香川県観音寺
市)である。

◆最大の特徴は、講師全員がネイティブスピーカーである点だ。しかも英語発
祥の英国の「キングズイングリッシュ」ではなく、米国人が話す「アメリカ英
語」にこだわる。「ビジネスの現場や国際学会に参加すると分かるが、アメリ
カ英語を話す人に必ず議論が流れていく。将来どこで暮らすにしても『最強の
英語』を子どもたちに授けたい」と合田美雪代表は強調する。一般的な英会話
スクールの場合、豪州やインド、フィリピンといった英米以外の英語圏からの
講師が多いが、ジェムは大半が米国人だ。

◆とはいえ、地方都市に米国人を呼び寄せることは容易ではないはずだ。この
点について、合田代表自身が約30年前に米国の小学校で教える機会を得たこと
が強みとなった。現在は米国に事務所も置いているが、「その時の人脈から、
現地の大学の卒業生を次々と呼ぶことが可能になったことが大きい」という。
ただしジェムは、彼らが来日して3~4年後には一旦帰国してもらう。「日本に
長く滞在すると、彼らの話す英語の『質』が悪くなる。特に日本語を深く理解
できるようになったり、日本人と結婚したりしたら、すぐにだめになる」と語
る。

◆一方で、こうした最高の教育を「安価」に提供できる仕組みが同社にはある。
授業料は月謝制で、入会金も年会費もない。それでも収益を上げられるのは、
社内のメールシステムをクラウド化し、徹底したIT活用により、業務を効率
化しているからだ。社員はどこにいても情報を共有できるため、テレワークや
在宅勤務が可能で、勤務時間も自己申告制だ。子育てや介護などとの両立を実
現したため、家庭を持つ優秀な女性を雇用し、長く働いてもらえる。

◆同社がいち早く「働き方改革」と「生産性向上」の両立に取り組んだのは、
合田代表自身が子育てとの両立に苦労したためだ。英会話教室をスタートした
のは1981年。しかし2拠点目は2000年に法人化してから開設した。長男で現副代
表の了さんが82年に生まれ、「長男が18歳になるまでは仕事を抑え気味にしよ
う」と考えたからである。その思いが今の会社に詰まっている。「こういう働
き方をしたいなと思いながら昔からやってきた」と合田代表。働き方改革が叫
ばれる時代になった今、「ようやく時代が追いついてきた」ことを実感してい
る。(編集子)