~熱廃水や温泉水を有効利用、低コスト小型の熱電発電装置~

◆熱から電気を生み出す熱電発電を知っているだろうか。物質を熱の流路に置
く(温度差を与える)と電圧が発生する現象を用いた発電方式で、効率よく発
電できる物質を熱電材料と呼んでいる。廃熱や未使用熱から電力エネルギーを
直接回収できるため、省エネにつながると各所で熱電材料や熱電発電システム
の研究が行われている。

◆この熱電発電を応用し、温水と冷水の温度差を利用して発電する小型発電ユ
ニットを製造販売しているのがモッタイナイ・エナジー(茨城県つくば市)だ。
玩具のブロックに似た耐熱性の白いプラスチック製ユニット中に発電モジュー
ルが仕込まれていて、用途に応じてこれを積み重ねていく。標準型は10段重ね
で、縦横高さが5.4×11.2×14.4cmの大きさ。温度差が大きければ発電出力も
増え、1ユニットで最大10ワットを発電できる。温度差がなくなれば発電出力は
ゼロになるが、温度差があるうちは発電し続ける。温度差40度で約3ワットを発
電するという。

◆「熱すぎる温泉水や工場の熱廃水を有効利用すれば、低コストで発電ができ
る」と同社の西当(にしあて)弘隆代表取締役。現在のサンプル出荷価格は10
段重ねが10万円。ユニットはプラスチック製なので、樹脂を金型に流し込んで
固める射出成形で簡単に量産できるため「価格は現在の約10分の1のレベルま
で下げられる。価格は需要次第」と話す。

◆西当氏は30歳のとき、熱電モジュールメーカーから経済産業省所管の公的研
究機関・産業技術総合研究所(産総研)に転職。約1年が経つころ東日本大震
災が発生。原発事故にともなう計画発電を横目に何もできない自分に歯がゆさ
を感じ、上司とふたりで実際の社会で使ってもらえる低コストの熱電発電デバ
イスの開発に着手。2016年6月に産総研発ベンチャーとして同社を創業して4年
目になる。大学や研究機関、民間企業などを相手に昨年5月の第3期決算で約1600
万円の売上を計上。今期の第4期は第3期を上回る売上を見込んでいる。

◆だが西当氏は「これだけでは世の中に広まらない。今後は自治体向けなどで
納入実績を積んで、将来は家庭向けにも普及させたい」と意欲的だ。「水の温
度差だけでなく、人間の体温と外気の温度差でも発電が可能なので、面白いこ
とができるのではないかと思っている」と明かす。「モッタイナイ・エナジー
という社名にちなんで、活用されていないエネルギーをもっと使い、世界のエ
ネルギー問題に少しでも役立ちたい」と考えている。(編集子)