~オンラインツアーで新規顧客を獲得~

◆いただきますカンパニー(北海道帯広市)は、北海道十勝の広大な農場を農
家に代わって畑ガイドが案内する農場ピクニックや農場観光ツアー、企業や農
協からの協賛で小学校に無料出前授業を提供する食育事業、畑ガイドの人材育
成事業などを行っている。例年、春と秋は東南アジアからのインバウンド客、
夏は首都圏からの家族連れ客でにぎわっていたが、今年は新型コロナウイルス
感染症の拡大でツアー申込者が激減してしまった。

◆農家の畑を借りてツアーを実施しているため、万が一参加者などからコロナ
ウイルスの感染者が現れると風評被害も受ける。同社の井田芙美子社長は4月末、
例年5月から実施しているツアーを断念し、7月17日までの休業を決断した。

◆再開後は、北海道が掲げた「新北海道スタイル安全宣言」に沿ってスタッフ
のマスク着用や小まめな手洗い、健康管理の徹底、施設内の定期的換気や設備
・器具などの定期的消毒・洗浄など、安全安心なツアー運営を心がけた。また
オンライン会議ツールZoomを使い、現場の様子や生産者とのリアルタイムでの
交流をライブ配信で楽しんでもらうオンラインツアーや、収穫作業を見学して
もらったうえで、トウモロコシ、ジャガイモ、ナガイモなどの収穫物を客の自
宅に届けるオンライン収穫体験も実施した。オンラインツアーの情報を共有す
るFacebookグループを作成し、約40社の道内事業者と共同でYouTubeチャンネル
「WE LOVE HOKKAIDO」も立ち上げた。

◆5月から9月末まで計24回実施したオンラインツアーの参加者は178名にのぼり、
従来は少なかった道内からの参加者や、旅行会社の社内研修利用など新たな需
要を獲得し、全体の客数減を前年比50%程度に抑えることができた。オンライ
ンツアーは大学のゼミや企業研修のほか、高齢者福祉施設や障害者福祉施設の
入居者など、新しい顧客層の発掘と展開が期待できる。前にリアルツアーに参
加した人も参加できるし、リアルツアーへの参加意欲も高まる。スタッフも新
しいお客とかかわることで仕事へのモチベーションを向上させている。

◆井田社長は「コロナ禍で観光業は不要不急の平和産業であることを思い知ら
された。今後も災害等が起こる度に大きな影響を受けることになるだろう」と
分析。「だが、観光業は癒しや学びにつながる人間にとって必要不可欠なサー
ビスだ。今後はリスクを踏まえて事業を継続できる仕組みを考えていく。どの
ような体験型観光事業なら継続していけるのか、マーケットの状況や自社のポ
テンシャルを鑑みて慎重に判断いきたい」と話している。(編集子)