~溶岩プレートのネット販売に活路~

◆砂原石材(岐阜県飛騨市)は、墓石を主力に石材業を経営している。創業は、
江戸後期の寛政12(1800)年。昭和28(1953)年3月に法人化し、平成20(2008)
年4月に砂原吉浩氏が5代目を継いだ。建築石材や造園・土木工事も受注して経
営を多角化しているうえ、近年は新商品を開発して主力事業を補完している。
槍ヶ岳や、剣ヶ峰で知られる乗鞍岳などがある地元飛騨の石材を用いた調理板
「飛騨溶岩プレート」は、地元の旅館や高級焼肉店などを中心に好評を得てい
る。

◆「煙や焦げ目が少なく、耐熱・耐久性に優れている」「火にかけると遠赤外
線が発生する溶岩石の効果で、素材の旨味を引き出す」「熱伝導効率が高く、
食材の内部まで均一に熱が通る」ことなどが特長だ。コロナ禍以前から中小機
構中部本部の支援を受けて、台湾への輸出に取り組んでいる。

◆しかし、新型コロナの影響による葬儀自粛や納骨・法要延期などが起因して、
本業とする墓石工事が前年同期比で4割の減収となった。ホテルや旅館、飲食
店が営業を自粛した影響で「飛騨溶岩プレート」の新規予約・追加注文まで
途絶えた。新規開拓営業は必然的に滞り、20年3月と4月の売上高は、新規予約
のキャンセル分を含めると前年同期比で2割減少した。

◆だが、同社はコロナ禍で外出自粛が促された今年前半に「巣ごもり需要」を
予見していた。「飛騨溶岩プレート」を様々な用途に合わせたサイズと仕様に
加工して、バリエーションを6種類に拡大。複数の通販サイトに出店した。

◆通販に進出する経営判断は正しかった。「飛騨溶岩プレート」は、楽天市場
で同年5月に国内月間販売600枚を記録して、月間優良店舗に選出されるなど前
年度の販売総枚数を大きく上回る業績を上げた。ネット販売で家庭内需要を深
耕できたことは、コロナ禍における最大の収穫だった。ふるさと納税の返礼品
にも登録して、販促を強化している。 

◆「飛騨溶岩プレート」には、新店舗のオープンや既存店の新メニューのツー
ルとして採用・問い合わせが増加。オリジナルプレートの注文まで舞い込んで
いる。今後は、職人の技術とアイデアで、デザイン刷新を含めた新しいプレー
トを開発し、通販サイトで国内外の家庭・業務双方の需要を掘り起こしていく
方針だ。

◆準備中の海外展開事業も推進する。中小機構中部本部の支援を受けながら、
同郷の特選ブランド品である黒毛和牛「飛騨牛」を取り扱える指定畜産業者
と、同郷産のイメージを前面に押し出したセット販売などのコラボレーショ
ン企画を検討している。砂原社長は「台湾を皮切りに、海外シェアを獲得し
ていきたい」と意気込む。

◆本業の石材業でも新しい可能性を追求していく。同社長は「石材加工という
特殊技術と地元産出の石材を活用することで、地元とユーザー、当社それぞれ
に魅力と価値を見出せる」と考えている。(編集子)